コラム:トランペット練習法~教則本中心に独学する場合~
トランペットの練習法は大きく3種類に分けられるかな、と思います。
- スクールなどに行ってレッスンを受けつつ、自主練をする
- サークルやバンドなどの集団の中で練習する
- 教則本やDVD、WEB情報を元に独学する
2番は極論を言えば学生特権なので、社会人の場合1か3になるかと思います。先生に習うか習わないか、ですね。
どちらが良いかといえば、1の方がうまくいく可能性が高いです。少なくとも悪くなることはまずありません。
とは言え、近くに教えてくれる人がいなかったり、時間が取れなかったりで結果として3番を選ばざるを得ない方も少なくないのではないでしょうか。
また、1番や2番の方でも、独学をする時間もあるはずです。
そこで、独学の際に必要なものや書籍について、簡単にお話させてもらえればと思います。
独学で必要なもの
独学で学ぶ場合に必要なものは、大きく以下の6つです
- 自分の楽器
- 練習する場所
- CDなどのたくさんのインプット
- 録音機材
- 教則本やDVD、楽譜などの教材
- 根気と時間と負けん気
これがそろっていると、結構効率よく前に進むことができます。では、詳しく一つ一つ追っていきますね(^-^
- 「自分の楽器」
これはまず必要です。教室に通うとレンタル楽器プランなどがある場合がありますが、その場合でも10万円以下のもので十分ですので楽器を買ったほうが良いです。(※楽器の選び方・買い方についてはこちら)その方がモチベーションアップにもつながります。ただ、金銭的に厳しい場合は誰か余っている楽器を貸してくれる人を探しましょう。
意外とラッパ吹きはコレクター嗜好が強い人が多いので、余剰を抱えている人は多いです(笑)
私も2本ほど後輩に貸しています。使ってるのか分かりませんが…。
- 「練習する場所」
実はこれが最も難関かもしれません(^-^;
練習場所は大きくはスタジオ、公園、学校など、橋の下…などありますが、とにかく迷惑をかけないことが大前提です。
でないと、最悪襲われることもあります。私は光が丘公園で練習していましたが、あれだけ広い公園ですが、一応なるべく公園の真ん中でやっていました。
もっと小さな公園ならなおさらです。
Twitterでも、「どっかからトランペットの音が聞こえる、うるさい」という声をたまに見かけます。良くも悪くも目立つのです…。一番良いのはスタジオです。地元のスタジオを私もたまに利用していますが、個人練習で時間500円~1,000円くらいです。
ただ、予約が当日ないし前日夜からしかできないことがほとんどです。
あまり部屋の有効活用だからです。なので、したいのにできないということもあります。とは言え環境としては最高です。
→ スタジオの料金設定の例(スタジオノア池袋店) - 「CDなどのたくさんのインプット」
これは、4番とも絡んできますが、トランペットは自分が出したい音のイメージを忘れないことがとても大事です。
CDやビデオなどを何度も見て、そして練習しながらも聞いて、理想とする音と吹き方をいつも意識しないと、あさっての方向に行ってしまいがちです。特に、少し吹けるようになると、曲を吹くことに熱中してしまいがちです。そうすると、無理やり高い音を、その曲を吹ききりたいだけのために出してしまって、力任せの吹き方になってしまうことがあります。最近ではYouTubeで実際のライブ映像も見られます。実際に吹いているところを見るとイメージがつきやすいので動画はおすすめです。
- 「録音機材」
3番と関係しますが、自分の音を録音する機材を持っていたほうが良いです。
と言っても、本格的なものではなく、音割れしない程度のキャパシティのあるマイク+MDレコーダや録音機能つきのデジタルオーディオプレイヤーでいいです。
近くで録音すると音割れしてしまうなら、少し離れたところにおけばなんとかなります。私は機材を忘れたときに携帯のボイスメモでやりましたが、離してやればなんとかなりました。目的はもちろん、自分の音を客観的に確認するためです。聴きなおしてみると、音色・フレージングなど、自分が聞こえているのと全然違うと感じると思います。
でも、それが観客に伝わる音ですので、受け入れてそれをどんどん良くできる様に練習します。
- 「教則本やDVD、楽譜などの教材」
もちろん、これがなくては始まりません。
まずは教則本ですが、これは定番を選ぶのがいいです。やはりおすすめはアーバンです。ただ、これは途中から非常に難しくなってきます。具体的にはリップトリルのあたりから。これは最初はともかくとして、途中からはできるところから拾ってやっていくイメージで良いと思います。順番にやっていく必要はないです。また、ハーバードクラークやストンプといったものも、定番です。一つのものをやりきってもいいですし、並行しても良いと思います。
→おすすめの管楽器教本をこちらにまとめました
- 「根気と時間と負けん気」
一人でやりつづけるので、これが肝心です。できれば練習仲間など見つけて、あるいはいつまでにこの曲をこの音色でといった目標を立てて、やっていくのが良いと思います。特に冬場冬眠してそのまま…という方が多いです!
ひたすらトライアンドエラー
そして、それに加えて大事なのが、ひたすらトライアンドエラーを繰り返すことです。
ちまたにはたくさんの情報が氾濫しています。どれが正しくてどれが間違っているかはっきりとは分かりません。しかし、だからと言って無視してしまうのはとてももったいないです。
なので、これは私のやり方ですが、すべての情報をいったん取り入れて試してみました。
中には本当は長期間やらなければ意味がなかったり、もっと深くやり続けないと意味がなかったりするものもあったと思います。(例えば『Science of Breath』とか…)
全てを本当の意味で「試した」かというと、そうではないです。
ただ、少なくともジュンク堂の管楽器関係の本は全て読んで試しましたし、YAMAHA銀座店も同様でしたし、当時勃興し始めたインターネットでも情報を集めました。(その結果としてこのサイトができたわけですが…)
合わなければ捨てれば良いですし、合えば取り入れれば良いと思います。ぜひいろんなものにトライしてみてください。
このサイトの中にもたくさん情報がありますので、ぜひぜひ見ていってくださいね(^-^
サイレントブラスの是非
YAMAHAから「サイレントブラスシステム」という商品が出ています。トランペット用だけではなくトロンボーンや果てはチューバ用まであります。
これは優れたミュートです。少なくとも今までのプラクティスミュートなどより数段優れています。
どう優れているかと言うと、吹奏感がプラクティスミュートなどに比べてかなりオープン状態(本来の状態)に近いからです。さらに、音をミュート内部のピックアップマイクで拾い、それをイヤホンで聞くことで、より本物に近い聞こえ方になります。
とは言え、特に初心者の方にはお勧めいたしません。
優れているとは言え、吹奏感は大きく変わります。具体的には抵抗がきつくなります。抵抗がきつくなると無理やり息を押し込むようになります。
金管楽器は、無駄な力を抜いてなるべく自然に息を楽器に入れることが大事ですので、これは変な癖をつける原因になります。なのでおすすめしません。ライブ前の指練習などに使うようなイメージですね。
最も大事なのは「呼吸法」」「ブレストレーニング」
トランペットは息で音を出す楽器です(唇ではありません)なので、トランペットと言う楽器に着目するのももちろん大事なのですが、大本の呼吸と言う部分への視点が大切です。
私は高校まで演劇をやっていてボイストレーニング/ブレストレーニングをやっていました。
そして、何も考えずに大学に入って、いざトランペットやサックスを吹いてみましたが、基本は同じでした。出口が少し違うだけでした。高い声を楽に出す感じで吹けば、高い音が出ました。
昔ながらのトランペットの吹き方は、口先だけにこだわったものが少なくありません。
低い音はあったかい息、高い音はすばやい息というのもそうです。
口先をつぼめてぴゅーというイメージです。
ですが、例えばサックスは高い音を出すときに別にぴゅーという息を出したりしません。なんせマウスピースをくわえてるだけですから…口先だけの話ではなく口先は結果に過ぎないです。
息は体全体で出すものです。
細かくはいろいろな本が出ているので、そちらを参考にしていただきたいですが、
キーワードは
- ボイストレーニング/ブレストレーニング
- 藤井完氏の『管楽器の呼吸法』
- 杉山氏の『タングマジック』
- クラウド=ゴードン氏の「チェストアップ」
- アレクサンダーテクニックの本一般
- ハタヨガの書籍(古くはMaynardFerguson氏も愛読したとされる『Science of brath』※英訳版手に入ります。)
などです。
また、よろしければ以下の記事もご覧ください。
おわりに
個人的には、独学こそ醍醐味と思っています。
スクールで習うことも含めて、ライフワークとして管楽器と一緒にすごせると言いなぁと思い、このブログも続けています。
実は唇が別の病気の関係で常に炎症を起こしていて、まともに演奏できないのですが、それでもトランペットが大好きです。
みなさんも、ぜひ一生ものにしてくださいね(^-^
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